一首評の記録
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一首評〈第138回〉
大森静佳 (「秋とあなたのゆびへ」/『手のひらを燃やす』) これでいい 港に白い舟くずれ誰かが私になる秋の朝 「誰かが私になる」ことを「これでいい」のだとしてい…
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一首評〈第137回〉
山階基 「パラソルを抜けたら」/『はならび(4号)』 会ひたいが何にが何んでも会ひたいになつたあたりの折り目をのばす この歌の面白いところは、心情が物体のように…
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一首評〈第136回〉
澤村斉美 『galley』「210号室」 鳥 教会 草 雨 ガラス 君の言ふものにひたりとわれはつまづく 列挙されている単語に共通しているのは、透明感と何気なさ…
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一首評〈第135回〉
永田淳 「落葉松林」/『1/125秒』 受話器にて君の不在を知る時に雨は微かに強くなりゆく 私たちは普段からさまざまな「音」に囲まれて生活している。車の走る音、…
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一首評〈第134回〉
木下龍也 「対少年時代」/『つむじ風、ここにあります』 ころんだという事実だけ広まって誰にも助けられないだるま 他人の中に流れている時間を僕は知らない。ついでに…
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一首評〈第133回〉
雪舟えま 連作「吹けばとぶもの」/『たんぽるぽる』 夕焼けがわたしを倒し渡ってく倒れて町の一部となりぬ 町全体を橙色に染める夕焼けの中、帰り道にわたしの影が伸び…
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一首評〈第132回〉
北村早紀 『星座』 はじめて笑った日のこと思い出せそうだうなずきながら君に手をふる 上記の短歌は、京大短歌10月3日の歌会において発表されたものであり、近日中に…
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一首評〈第131回〉
与謝野晶子 『みだれ髪』 やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君 テレビを見るのが好きだ。何気なく番組を見るのも好きだが、私はCMを見るのも好…
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一首評〈第130回〉
村上きわみ 『蟹座』「夏のこども」 心臓をまもって歩くけものたち(夏のいのちはいたみやすいね) (ネットプリント(net print)とは、富士ゼロックスがセブ…
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一首評〈第129回〉
中島らも 『全ての聖夜の鎖』 「薄明に野の祈り容いれられず斯かくて夜はきしむ卵となりぬ」 三つの掌編からなる『全ての聖夜の鎖』冒頭、黒地に白抜きの文字で提出歌は…