一首評の記録
-
一首評〈第6回〉
澤村斉美 『京大短歌』 13号 鳥を飼っているのはほんとう きみのいない時に放して運動させる 人に見せることのない自分というものは、誰しも持っているものだと思う…
-
一首評〈第5回〉
松島綾子 『京大短歌』 13号 地下鉄のレールを遠く伸ばしたる町のいづくに昨日が眠る 地下鉄駅を出ると、思いがけない景色に出会う時がある。冬に地下鉄で南部から北…
-
一首評〈第4回〉
小島一記 『京大短歌』 13号 靴紐を直す背後の噴水に晩夏のいわし雲がかぶさる 背をかがめている人間の向う側に、大きな景が重層的に配置されている。ここでは、大き…
-
一首評〈第3回〉
西之原一貴 『京大短歌』 13号 枝高き並木の奥に今日もまた戸が開いている寮の入口 手入れをされずのびきった並木の枝々が、大時代的な男子寮の建物の独特な雰囲気を…
-
一首評〈第2回〉
堀野真実子 『京大短歌』 13号 鮭卵がゆるりとなだれくる色にタクシーの灯の連なり崩る 地下鉄の出入口前、病院のタクシー乗り場。タクシーの溜まる場所はいろいろあ…
-
一首評〈第1回〉
水野ふみ 『京大短歌』 12号 立ち読みの途中突然かなしくて書棚に縋って泣きたくなりぬ 何とはなしになきたくなるときがある。でも、実際に泣けることはない。泣きた…