一首評の記録
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一首評〈第98回〉
二又千文「道々に咲く」/『pool』vol.7 みずいろのリュックサックを背せなにして吾子は少女となる交差点 私には四歳の甥がいる。半年おきに帰省すると、彼はい…
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一首評〈第97回〉
奥日光 佐藤佐太郎『群丘』 かすかなる鱒ますといへども落雷に生きのこり体からだ曲りておよぐ 自然を詠うとき、もっとも大きな武器となるのは“技術”であると思う。…
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一首評〈第96回〉
斎藤茂吉『赤光』 ゆふ日とほく金にひかれば群童は眼つむりて斜面をころがりにけり 斎藤茂吉の歌のよさは今の私にはわからない。よく引かれる有名な歌を含め、『赤光』を…
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一首評〈第95回〉
福井和子「始まりはいつも」/「短歌」1999年11月号 突然に『もろ人こぞりて』鳴り出だしティッシュ受け取り損ねて歩く あけましておめでとうございます。新年が始…
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一首評〈第94回〉
佐伯裕子『あした、また』 パラソルをかざしてゆくよ有史より死者は生者の数を凌しのぐに 最近、私の鞄にはいつも現代短歌文庫『佐伯裕子歌集』が入っているので、今回…
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一首評〈第93回〉
千種創一「お水いりますよね」/『dagger‡3』 広辞苑第三版の中にいて闘いやめぬアラファト議長(1929~) ちょっと個人的な話をさせて欲しい。ある時、弟…
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一首評〈第92回〉
東直子『青卵』 怒りつつ洗うお茶わんことごとく割れてさびしい ごめんさびしい 今年になって立て続けに我が家の陶器が割れた。まずは丼の蓋、次にごはん茶碗、さらに…
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一首評〈第91回〉
光森裕樹 『鈴を産むひばり』 そこだけがたしかにひぐれてゐる窓辺きみは林檎の光沢を剥く 『鈴を産むひばり』は美しい本です。さわってもひらいても心地良くて、すっと…
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一首評〈第90回〉
服部真里子 『町』3号 はばたきのシステムという美があってそれに指先だけ触れている 鳥、例えば文鳥などの翼にそっと触れている場面を想起させる。この歌の主眼は、「…
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一首評〈第89回〉
矢頭由衣 連作「ヴォイド」 直線を引き続けると前触れなく途中の道で日暮れに遭う 梅雨に入りました。何日か前の新聞に書いてありましたが、からだにもカビが生えること…