歌会コメント
今紺しださん、小池ひろみさん、森田歩さんの3名の追い出し歌会を現役会員8名と行いました。たくさん詠草が集まり、嬉しかったです。歌会後は「くれない」へ。種々の話に花は咲き、この世のお総菜がすべて入っているお好み焼き?のアマゾネスをいつも通り頂きました。卒業生の方々、ご卒業おめでとうございます!!!
詠草
<卒業生全体へ>
生活に迎えた花の一輪がわたしに咲いている春隣/津島ひたち
橅の木に穴を見つけて来年も誰かが見つけてくれると思う/カジオ・ブランコ
<今紺しださんへ>
ひかりさす博物館の椅子の上でつぎつぎ詠草を並べゆくひと/津崎一加
夕さりに傾けられた試験管はどれだけ歌が積もってますか/森井翔太
晴れの古都巡り終えれば夕焼けの中心部に入る先頭車両/武田歩
最後まで平行だった 旅立ちを喜ぶ曲のきみの五線は/布野割歩
くらげをみてひかりを、ひかりをみてきみの歌を思いだすわたしになった/船田愛子
晴れ上がりの後の世界を生きているきみにわたしにふる春の雪/船田愛子
か弱さのようにトレーに載せられた二つの小鉢 持つ手の白さ/真中遥道
少しずつ早くなりゆく日の入りを日ごとに眺めた鴨川の椅子/真中遥道
君が君の短歌に閉じこめてくれた二十一の幾つもの僕ら/真中遥道
不器用に石を渡っていく君にまた鴨川のそよ風よ吹け/真中遥道
<小池ひろみさんへ>
なんとなくオレンジのイメージがあって噴水を背に振り向く、ずっと/森井翔太
ガーベラをこころとするなら離れないように束ねてあなたに渡す/船田愛子
三条の商店街には端があり話せなかった沢山のこと/真中遥道
嵐の尾に少し似ていて春風は差し出した手をつよく撫でゆく/武田歩
過去は均されていくからできるだけ今日のスーツに皺を増やして/布野割歩
<森田歩さんへ>
横浜の観覧車から見渡せるあかるい港のようだと思う/船田愛子
まだ浅い夏の空気にさらされてみどり色の日傘はうれしそう/三上麦
恋バナを食べようとしたら輪を描く鳶のように言いたげな笑み/真中遥道
わたしの気持ちを救けるひとはわたししかいなくて夜はそのたび明ける/布野割歩
教え子は先生となる 卒塔婆の達筆な字が陽に照らされる/武田歩
去りかけの夏をかかえている風がプラットホームを吹き抜けてゆく/森井翔太
<卒業生から>
「現実」の速度に抗えるように歌よ防波堤になってくれ/今紺しだ
「僕こそが歌を愛している」そんな氷を割ってくれた人里/今紺しだ
使える時はなるべく漢字を使うという生き方 遠く憧れていた/小池ひろみ
おそろしいケンタウロスの境目も撫で続ければいつかなくなる/小池ひろみ
自転車の撤去が厳しくない土地で楽しく生きて 鍵は忘れず/小池ひろみ
おおかたをshouldで生きてきたとしてもそれを選んだのは 小雨止む/小池ひろみ
これまで見た夕焼け全部立ち上げてスクリーンの前にいま一人/小池ひろみ
いつか歌に詠むだろうと思ったときを詠んでいるときより思い出す/小池ひろみ
- このページに掲載の歌稿は、作者の許可のもとで掲載しています。
- 転載などを希望される場合には、京大短歌会のメールアドレスあるいは「お問い合わせ」より連絡ください。作者の意向を確認し、その都度対応を決定してご返信いたします。