一首評の記録
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一首評〈第55回〉
枡野浩一 『てのりくじら』 結果より過程が大事 「カルピス」と「冷めてしまったホットカルピス」 句切れ方が王道だと思う。これだけ明快な内容は、このくらい五七の型…
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一首評〈第54回〉
永井祐 連作「不敗神話」より 「人生は苦しい」(たけし)「人生はなんと美しい」(故モーツァルト) たけしというのは、北野武(ビートたけし)氏のことでしょう。北野…
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一首評〈第53回〉
下里友浩 『京大短歌』15号 君はひとりでお昼ごはんをたべている あんなところに階段がある 作者は京大生の方ですから、舞台は学生食堂でしょうか。 普通に考える…
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一首評〈第52回〉
永井祐 連作「1万円」より 大みそかの渋谷のデニーズの席でずっとさわっている1万円 短歌ヴァーサス第9号より。初出は東京の「第5回ガルマン歌会」(2005年5月…
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一首評〈第51回〉
塚本邦雄 されど遊星 あはれ知命の命知らざれば束の閒の秋銀箔のごとく滿ちたり 第十歌集の巻頭歌。「知命」は50歳のこと。孔子の「五十而知天命」の裏返しである。一…
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一首評〈第50回〉
塚本邦雄 靑き菊の主題 イエスは架かかりわれはうちふす死のきはを天靑金あをがねに桃咲きみてり 第九歌集の巻頭歌。この一首からはじまる連作「桃夭楽」は、頭文字が「…
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一首評〈第49回〉
塚本邦雄 蒼鬱境 遠き萩それよりとほき空蝉の眸まみ 文學の餘白と知れど 塚本の第八歌集は、収録歌数わずか三〇首、発行部数は私家版を除いて二〇〇部、跋、後書きのた…
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一首評〈第48回〉
塚本邦雄 星餐圖 靑年にして妖精の父 夏の天はくもりにみちつつ蒼し 第七歌集の巻頭歌。しかし、塚本の秀歌選などで取り上げられることは少ない一首である。岡井隆氏は…
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一首評〈第47回〉
塚本邦雄 感幻樂 固きカラーに擦れし咽喉輪のくれなゐのさらばとは永久とはに男のことば 塚本とは、死後にしか見えたことがない。昨年二〇〇五年の六月九日に、塚本は八…
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一首評〈第46回〉
塚本邦雄 緑色研究 雉食へばましてしのばゆ再また娶りあかあかと冬も半裸のピカソ 第五歌集の巻頭歌。「娶る」とは、塚本の主要なモチーフのひとつだが、 水球ウォー…