一首評の記録
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一首評〈第58回〉
斉藤斎藤 『渡辺のわたし』 くらくなる紐ひっぱりながら横たわりながらねむれますよう起きれますよう 『渡辺のわたし』を読んでいると、斉藤斎藤は歌のなかでしょっちゅ…
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一首評〈第57回〉
笹井宏之 「数えてゆけば会えます」 レシートの端っこかじる音だけでオーケストラを作る計画 一年ほどまえから、レシートを噛むくせがついた。たとえば赤信号の交差点。…
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一首評〈第56回〉
俵万智 『もうひとつの恋』 何もかも<ごっこ>で終ってゆく恋のさよならごっこのほんとの部分 ものすごく痛いところをついてくる、そんな歌だと思う。ひとつの恋が何も…
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一首評〈第55回〉
枡野浩一 『てのりくじら』 結果より過程が大事 「カルピス」と「冷めてしまったホットカルピス」 句切れ方が王道だと思う。これだけ明快な内容は、このくらい五七の型…
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一首評〈第54回〉
永井祐 連作「不敗神話」より 「人生は苦しい」(たけし)「人生はなんと美しい」(故モーツァルト) たけしというのは、北野武(ビートたけし)氏のことでしょう。北野…
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一首評〈第53回〉
下里友浩 『京大短歌』15号 君はひとりでお昼ごはんをたべている あんなところに階段がある 作者は京大生の方ですから、舞台は学生食堂でしょうか。 普通に考える…
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一首評〈第52回〉
永井祐 連作「1万円」より 大みそかの渋谷のデニーズの席でずっとさわっている1万円 短歌ヴァーサス第9号より。初出は東京の「第5回ガルマン歌会」(2005年5月…
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一首評〈第51回〉
塚本邦雄 されど遊星 あはれ知命の命知らざれば束の閒の秋銀箔のごとく滿ちたり 第十歌集の巻頭歌。「知命」は50歳のこと。孔子の「五十而知天命」の裏返しである。一…
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一首評〈第50回〉
塚本邦雄 靑き菊の主題 イエスは架かかりわれはうちふす死のきはを天靑金あをがねに桃咲きみてり 第九歌集の巻頭歌。この一首からはじまる連作「桃夭楽」は、頭文字が「…
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一首評〈第49回〉
塚本邦雄 蒼鬱境 遠き萩それよりとほき空蝉の眸まみ 文學の餘白と知れど 塚本の第八歌集は、収録歌数わずか三〇首、発行部数は私家版を除いて二〇〇部、跋、後書きのた…