歌会の記録:2001年3月19日~21日

歌会コメント

早稲田短歌会・東北大短歌会と合同合宿@東京
恒例行事、学生短歌合宿は吟行、自由題歌会、歌合をすべて消化。

詠草

合同合宿二日目自由題歌会  三月二十日

01 雄猫は萌ゆる若芽に舌絡め 樹木草叢に緑ざわめく  前田

02 けもの野をかけてゆきたりテーブルの隅に破れたウェットティッシュ  西之原

03 捨て猫の入っていない段ボール二人で探せば見つけられるよ  秋元

04 呼吸するようにひとひら梅が散りピンポンダッシュのしたい夕暮れ  木村

05 世界(フィールド)にlog onしゆく心地かな冬の終はりに吹きまどふ雪  黒瀬

06 朝焼けのジープに備えつけてあるタイヤが外したくてふるえる  五島

07 真空の骨思う真夜 ひえびえとアッシュトレイに銀の砂浜  天道

08 フリースのジッパーふいに閉じ合わすひとりの海は寂しかりけり  西村

09 森へ森へ魚ら駆けたり南天のまろきまつたき実に生れむとて  橋元

10 チョコミントアイスのさみしさ 分かちあえるか?いま問われれば「はい」と答える  仲井

11 勃起して過去の時間の要約を雨音がする外は水びたし  永井

12 冬の陽を集める眉根 愛しさの初めに細長い線があった  澤村

13 。     。   。   。  。 。 。。。蟹  横内

14 ポケットの冷えた夜空と同居する掌いちまい行くあてもなく  金田

15 たとへば雪。一夜限りの逢瀬とふ半分ほどのまことを信じ  間崎

16 そのかみの墓所の在り処わたくしの左眼ほどの確かさならむ  松島

17 静寂のなか折る色紙さやさやと息吹溢れる小人の楽器  町出

18 カフカ(春の飛行機の名)としてある午後を私もまた筋を伸ばして  棚木

19 我が影も飛ばされるから追いかけて春一番はやがて快楽  岡本

20 軋みゆく一輪挿しの観覧車ひとを吸うたび紅葉せり  松本

21 一輪のひなげし萎えて花蘂にあらはれいづる老女のおもて  小林

22 泣き出したい こらえきれない泣きたくて「言えよ」「もういい!」「変だよ」「何が!」  宮澤
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