歌会の記録:2005年3月26日(土)

歌会コメント

北辻千展さんの追い出し歌会 参加者7名。
味わい深いはなむけの歌、さまざまな趣向を凝らした歌が集まりました。
京大短歌一同、北辻さんの今後の活躍をお祈りします。

(追記)
その後の送別会より、棚木さん、香山さん、吉村さんが合流しました。
宴もたけなわのころ、北辻さんにプレゼントが贈られたのですが、
そのうちのひとつに、動物をモチーフにした、小さな積み木がありました。
その積み木がテーブルの中央に広げられ、会員の何人かの手によって、ひとつの動物園がつくられていきました。

詠草

01 雪原に残る鼻血のあかるさがあたらしい方角を生みだす  東郷真波

02 我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか
  ひつじ着つつ伝ひ来つタヒチ黄きひちひろ引きたつツツジ拾ひたき路地  下里友浩

03 ぬばたまの疲れし夜の現実を弱めるために音楽おとを強める 北辻千展
  音楽ボリュームを弱めしのちの静寂に耳傾けてゐむ春の雪降る  西之原一貴

04 餞四首
  日々位置を変へつつ時計台からの黒く澄む音きみと聴きたり
  深き森をなしてデータの収まれるノートに未知の灌木は生おう
  歌詠みのとほくに友の歌詠みのありてかはらずほうほうと言ふ
  片腕の長き凧カイトのかたちかなさきはひて見る蝦夷の地形図  澤村斉美

05 あさくふかくはる
  きのふよりおとやはらかくたちこめるまどべにひとつふたつがらすき
  たうたうとたいるをなでてふくかぜはやがてたいるのおくへときえた
  ついさうをからにしまつたせいねんのまなざすなかにひとかげはたつ
  じまくにはうすいさよならごごごじのあかるさのなかにほへるせえじ
  ちかいよりあらはれしろいそおせえじあはいちあひにしがつのいのち
  ひろがりへおりたつれいきうつすらとのばすまぶたにまひるのつかひ
  ろおれるのつめられてゐるびんのなかすうねんさきのかぜはなにゐろ  金田光世

06 一本の芯通はせて生きるべしメタセコイアの並木をゆけば
  氷を洗ひ夕立ち誘ふ庭先に落ちてをりたり幾多の鱗
  新雪をかためて歩く夜道なり青き卵を育みながら  北辻千展

07 星は手にとるように冴えこの夜に誰もが違う夢をみている  生駒圭子
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