一首評の記録
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一首評〈第115回〉
平岡直子「Happy birthday」『早稲田短歌四十一号』※朝日新聞「あるきだす言葉たち」欄二〇一一年二月一日掲載 セーターはきみにふくらまされながらきみよ…
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一首評〈第114回〉
安田百合絵「オンディーヌ」/『外大短歌 第二号』 人間に恋してしまつた ほのあかりする夕星ゆふづつに打ちあけてみる 「人間に恋してしまつた」?なら、別にいいだろ…
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一首評〈第113回〉
光森裕樹『鈴を産むひばり』 鈴を産むひばりが逃げたとねえさんが云ふでもこれでいいよねと云ふ 光森裕樹の第一歌集「鈴を産むひばり」の第一首目であり、同歌集のタイ…
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一首評〈第112回〉
杉崎恒夫『パン屋のパンセ』 卵立てと卵の息が合っているしあわせってそんなものかも知れない しあわせって、なんだろう。不幸でなければしあわせ、というわけではない。…
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一首評〈第111回〉
馬場あき子『桜花伝承』 忘れ得ぬ心みたりし春のこと千の椿の葉の照り返し 心を見たのだという。かつての春、確かに目撃したある忘れられない心が今、あたかも無限に反…
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一首評〈第110回〉
栗木京子『夏のうしろ』 雨の夜は亡き人おもふほのぼのと発光をする馬のかたちの 雨降りの夜には光が滲んで見える。 ずっと眺めていると、その光の中に見えてくる輪郭…
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一首評〈第109回〉
高松紗都子「NHK短歌」8月号 青年と父が言うとき恋人は若木のように我が胸に立つ 父にとっては「青年」、作中主体にとっては「恋人」。人は様々な側面を持っているも…
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一首評〈第108回〉
安永蕗子『讃歌』 落ちてゆく陽のしづかなるくれなゐを女と思ひ男とも思ふ さて、いったい私に一首”評”なんて書けるのでしょうか。 …
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一首評〈第107回〉
加藤治郎『サニー・サイド・アップ』 書きなぐっても書きなぐっても定型詩 ゆうべ銀河に象あゆむゆめ 頭の中には深くて広いイメージの海があって、そこに静かにきらめき…
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一首評〈第106回〉
俵万智『サラダ記念日』 江ノ島に遊ぶ一日それぞれの未来があれば写真は撮らず 「江ノ島に遊ぶ一日」では甘ったるいだけの歌が、「それぞれの未来があれば」のひねりで途…