一首評の記録
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一首評〈第21回〉
森本平 『セレクション歌人28 森本平集』(邑書林:2004) 歳をとったら 歳をとったら君に出すお茶にもつつじのひとひらを入れ 一読、恋人に「歳をとったら、私…
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一首評〈第20回〉
雪舟えま 『かばん』 2002年12月号 どの恋人もココアはバンホーテンを買いあたしの冬には出口がない すぐれたアートは時を止める。たとえばある種の音楽を聴いて…
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一首評〈第19回〉
可陽亭紅円 『短歌研究』 2003年11月号 より孫引き 元日のあさ裃に積もりけるゆきたけながき春がきました この歌は「ディテールを描く」という特集の中で、瑣末…
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一首評〈第18回〉
金田光世 『京大短歌』 13号 マンションに夜舞い降りたフラミンゴ照らされる時雨傘になる 目にした途端、様々な映像や色彩が頭の中を踊る一首である。夜の闇に浮かぶ…
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一首評〈第17回〉
松村正直 「蟻走感」(『短歌往来』 2003年12月号)の一連より 被弾した機体のごとく飛来してわが腕に蝉はぶつかりにけり 夏の盛りを過ぎると公園や路上に蝉の屍…
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一首評〈第16回〉
高島裕 『雨を聴く』(ながらみ書房:2003) 波へだて遠ざかりゆく君のためなほまつすぐに告ぐる愛あり 「なほ」という一言が、これほどその生命をまっとうしている…
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一首評〈第15回〉
片柳香織 『京大短歌12号』 「ナイフ? 何故?」咯什カシュガルの女性ひとは紅き爪真っすぐに立てて白桃割りぬ すっと、鮮やかな映像が浮かびあがる。活気溢れる異国…
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一首評〈第14回〉
西之原一貴 『京大短歌』 13号 頬に風受けつつ走る今もまた何かを忘れてゆくのだろうか 忘却は常に起こっているものではあるが、それを意識する事はない。せわしなく…
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一首評〈第13回〉
上田茜 『京大短歌』 12号 氷砂糖溶けゆくかたちを確かめてすべてあなたのせいだと思う 一読、美しい相聞歌だと感じた。 解釈を迷う部分は殆どない。氷砂糖を、その…
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一首評〈第12回〉
首藤絵美 『螺旋般若』(短歌研究社:2003) わが海の荒れやまぬ夏終わるらし あふむけの蝉返し歩かす 「わが海」は一夏を慣れ親しんだ眼前の海であるとともに作者…