一首評の記録
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一首評〈第45回〉
塚本邦雄 水銀伝説 燻製卵はるけき火事の香にみちて母がわれ生みたること恕ゆるす 四歌集の巻頭歌。この一首については、岡井隆氏が「辺境よりの注釈 塚本邦雄ノート」…
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一首評〈第44回〉
觜本なつめ 2006年3月12日追い出し歌会より その論の器用大胆かつ不敵名もなきようだ異端か果ては その論は器用で大胆、加えて不敵な、まるで怪盗のような論であ…
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一首評〈第43回〉
塚本邦雄 日本人靈歌 日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも 第三回現代歌人協会賞を受賞した第三歌集の巻頭歌。そして、数万首におよぶ塚本の歌業のな…
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一首評〈第42回〉
塚本邦雄 装飾樂句カデンツァ 五月祭の汗の靑年 病むわれは火のごとき孤獨もちてへだたる 第二歌集の巻頭歌。亡き畏友・杉原一司に捧げられた第一歌集、「水葬物語」で…
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一首評〈第41回〉
塚本邦雄 「水葬物語」 革命歌作詞家に凭よりかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ 主題: シュルレアリズムの手法をふまえつつ、日本における「革命」思想への欺瞞…
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一首評〈第40回〉
永井陽子 『樟の木のうた』 べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊 こ、き、く、くる、くれ、こよせ、○、き、し、しか、○これらを呪文のように唱…
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一首評〈第39回〉
早坂類 『風の吹く日にベランダにいる』 海からの風みたいだなごうごうと通過電車に吹かれてみんな 「ごうごうと」吹く風を接点として、駅のホームが海辺に変わる。だが…
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一首評〈第38回〉
塚本慶子 「花零れり」 落魄と思はぬ日さへ追はれ來てつひに立たされし夏野なりけり 「もともと短歌といふ定型短詩に、幻を見る以外の何の使命があらう。」という『短歌…
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一首評〈第37回〉
紀野恵 『架空荘園』 砂子屋書房:1995 いちぎやうですらりと歌をつくり棄て長い散歩に出やうとおもふ *「出やう」は原文ママ まず、「一行」を旧仮名遣いで平仮…
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一首評〈第36回〉
今橋愛 短歌同人誌 〔sai〕1号歌集 かんたんに「原ばく落とす」とか言うなわらうなマユリーをつれて帰るな 作者がタイ旅行に出かけたときの一連「スクン…