一首評の記録
-
一首評〈第41回〉
塚本邦雄 「水葬物語」 革命歌作詞家に凭よりかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ 主題: シュルレアリズムの手法をふまえつつ、日本における「革命」思想への欺瞞…
-
一首評〈第40回〉
永井陽子 『樟の木のうた』 べくべからべくべかりべしべきべけれすずかけ並木来る鼓笛隊 こ、き、く、くる、くれ、こよせ、○、き、し、しか、○これらを呪文のように唱…
-
一首評〈第39回〉
早坂類 『風の吹く日にベランダにいる』 海からの風みたいだなごうごうと通過電車に吹かれてみんな 「ごうごうと」吹く風を接点として、駅のホームが海辺に変わる。だが…
-
一首評〈第38回〉
塚本慶子 「花零れり」 落魄と思はぬ日さへ追はれ來てつひに立たされし夏野なりけり 「もともと短歌といふ定型短詩に、幻を見る以外の何の使命があらう。」という『短歌…
-
一首評〈第37回〉
紀野恵 『架空荘園』 砂子屋書房:1995 いちぎやうですらりと歌をつくり棄て長い散歩に出やうとおもふ *「出やう」は原文ママ まず、「一行」を旧仮名遣いで平仮…
-
一首評〈第36回〉
今橋愛 短歌同人誌 〔sai〕1号歌集 かんたんに「原ばく落とす」とか言うなわらうなマユリーをつれて帰るな 作者がタイ旅行に出かけたときの一連「スクン…
-
一首評〈第35回〉
吉村千穂 京大短歌2005年5月25日歌会より 盛られ来し海老最期までプライドのありしと思う緋色の双葉 一読して「緋色の双葉」という表現の鮮やかさに目をうばわれ…
-
一首評〈第34回〉
兵庫ユカ 短歌ヴァーサス5号 「歪みのなかに」 かたちだけ質問を待つ 発芽には適さない土としてこの場は わたしがこの歌に関してまず思うのは、切り捨て方の巧さであ…
-
一首評〈第33回〉
佐藤りえ 『フラジャイル』 青空のどこか壊れているらしく今日三度目の虹をくぐれり 7月に入る頃から、それまでの渇きを取り戻すようにたくさん雨が降った。夕立も多…
-
一首評〈第32回〉
澤村斉美 2000年9月15日の歌会より 谷のテント場に電波は届かない無形の空をぼくらは見上ぐ このホームページの「歌会の記録」では、2000年以降の歌会の作…