一首評の記録
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一首評〈第68回〉
棚木恒寿 『天の腕』 相撲(すまい)する男すくなくなりしより清さやかなる水は店に売らるる この「天の腕」は、ちょうど1年前の2006年12月、棚木さんご本人に頂…
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一首評〈第67回〉
光森裕樹 「風のうはずみ」 ひだりうでに鎖をなして連なれる歯形を熱き陽にさらしをり 自傷の歌ととりたい。一首は初句から結句まで区切れをもたず、まるで「鎖」のよう…
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一首評〈第66回〉
佐藤弓生 『世界が海におおわれるまで』 背にひかりはじくおごりのうつくしく水から上がりつづけよ青年 「おごり」というマイナスの意味でとられることの多い言葉。それ…
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一首評〈第65回〉
宇都宮敦 「くちびるとかスリーセブンとか まばたきとかピアスとか」 手の甲で君のほっぺに触れてみた 君のまぶたが「ふしぎ」と言った ピーリング・ケアは…
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一首評〈第64回〉
東郷真波「発泡ひこうき」 なにひとつ求めぬ腕をしならせてやさしいひとが放つひこうき おそらく紙飛行機であろう。結句「ひこうき」において初めてあらわれるK音が、漠…
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一首評〈第63回〉
喜多昭夫 『青夕焼』 オレンヂを積む船に手を振りながらさびしく海を信じてゐたり 信じる、という言葉を裏づけるのはなにかと考えたとき、実は具体的に指示できる確かな…
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一首評〈第62回〉
宇都宮敦 「ハロー・グッバイ・ハロー・ハロー」 牛乳が逆からあいていて笑う ふつうの女のコをふつうに好きだ 「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフー…
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一首評〈第61回〉
東郷真波 連作『発泡ひこうき』 たっぷりのドレッシングの照り返しだけがすべてを愛してくれる 短歌ってなんなんだ、と心細くおもう日がある。わからないことだらけだ、…
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一首評〈第60回〉
増田静 『ぴりんぱらん』 なんでなんで君を見てると靴下を脱ぎたくなって困る 脱ぐね 誰かとつながりたいと思うとき、あるいはつながっていると認識しているとき、それ…
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一首評〈第59回〉
澤村斉美 「黙秘の庭」 遠いドアひらけば真夏 沈みゆく思ひのためにする黙秘あり 「沈みゆく思ひ」の反対は、「思い浮かぶ」発話のいくつか。 われの知る父より父は…