歌会コメント
学生短歌会合同合宿@京都
1日目:顔合わせ歌会。参加者37名。
2日目:3グループに分かれて吟行会。
3日目:解散。
1日目の司会は前半は阿波野、後半は安達くんが行いました。
吟行会では、安達くんの保津峡ガチ登山コース、笠木さんの嵐山コース、大森さんの御所&鴨川&カフェコースに分かれました。司会はそれぞれ、安達くん、坂井さん、大森さんにやっていただきました。
ぼくは大森さんコースに行ったけれど、ソワレというカフェがとても御洒落な素敵空間で逆に落ち着かなかった。(阿波野)
詠草
(顔合わせ歌会:公開歌稿) www(ワールドワイドウェブ)に覆はる星なれど海も天才、山も天才/西山 ぜんまい(早稲田大学短歌会) 道端で倒れた人が救急に運ばれてゆく 幸せですね/岡村 拓也(北海道大学短歌会) 樹の枝で河の深さを確かめて、きちんと心を死ねるだろうか/大森 静佳 重々しく打ち明けるはずだつたのにミスドが安売りしちやつてて あゝ/榊原 尚子 マカロンの色とりどりに姪っ子は友だちの名を当てはめていく/安良田 梨湖(岡山大学短歌会) 体内時計狂わせる月の満ち欠け 秒針は欠け 欠ち 満 ち ち/綾門 優季(早稲田大学短歌会) 赤信号のなかの男が走り出すあの子のハンカチを拾うため/宮崎 哲生(立命短歌会、京大短歌) ひつじ雲みたいだここは無風だし束の間叫ぶ場所でありたい/延 紀代子(大阪大学短歌会) 夜の雨はじやりりじやりりと鱗もてゆく蛇(ゆめのみぎはであつた)/藪内 亮輔 なだらかな冬へと戻る準急で「無痛分娩」の文字を追い抜く/村松 昌吉(立命短歌会) 東京の夏に遺灰がまかれ光化学スモッグとして子らの肺へと/柳 文仁(立命短歌会) 冬の光を水面(みなも)に薄くばら撒いて透明な湖(うみ)の底がみえない/安達 洸介 彗星に呼び止められてひるがえり買い忘れたねぎのことを思う/森屋 和(早稲田大学短歌会) おたがひに死因を当ててゆく午後の食卓にふゆの終はりが在りき/町川 匙(東京大学本郷短歌会) 取り返しのつかないあたたかさですね菜の花畑にねむるパトカー/池松 果実(大阪大学短歌会) 私だけ死んだ時には私には雪夜の記憶のみが残りぬ/廣野 翔一 北向きに薄片製作室のある廊下で三度留守電を聞け/狩野 悠佳子(早稲田大学短歌会) (吟行 御所・鴨川コース:公開歌稿) 梅の花 主無しとてぱやぱやと普通に咲いてるまあそうだよね/西山 ぜんまい(早稲田大学短歌会) 焦点をこの梅あの木にあわせても真昼の影のあわいはしぼれず/渋谷 美穂(早稲田大学短歌会) 最後までつかなかった嘘は串刺しになってはじける 花桃が、ぽん/森下 理紗(岡山大学短歌会) ねむいのだねカメラ。接写をあきらめてピントが合わないままの午後です/佐伯 紺(早稲田大学短歌会) 木の洞(うろ)の闇にはなびら生まれたら留まることが消えてゆくこと/大森 静佳 桃の色咲く爪になりますようにぐんと伸びして木々にまぎれる/安良田 梨湖(岡山大学短歌会) 仕方なく鴨の番いを載せているきらきらはもう春のきらきら/松尾 唯花(立命短歌会) 花びらをまずは散らせて梅の木になおとどまれる萼(がく)のくれない/柳 文仁(立命短歌会) (吟行 保津峡コース:公開歌稿) 木の隙間うめる光は景として枯れた時間を踏み歩く 無/上本 彩加(岡山大学短歌会) 川上へ。眠れぬ魚(うを)の消化器を遡るごと隊列の行く/町川 匙(東京大学本郷短歌会) 風景がしづけき歯にてかみつぶすわれとわが見てゐる白梅を/藪内 亮輔 深くなればなるほど深まる水の色に「川の匂ひがする場所ですね」/安達 洸介 (吟行 嵐山コース:公開歌稿) 苔庭に無傷の春が落ちていて触れない境界線の前/森屋 和(早稲田大学短歌会) 懇願でぎゅうぎゅうづめの絵馬たちが減っていくよう絵馬に祈ろう/綾門 優季(早稲田大学短歌会) おにぎりの海苔やはらかく渡月橋 春と手と手を取り合つてゆく/榊原 尚子 竹林の視覚錯角透かされてアオミドロゆれる観察日和/池松 果実(大阪大学短歌会) 堰を越え流れる水のまたたきの桂川 幾たびもまた春/笠木 拓 自転車に乗って易者がやってくる春を背中に小さく背負(しょ)って/岡村 拓也(北海道大学短歌会) 日溜まりに深々とゐし歳月は常寂光寺をすでに静めり/延 紀代子(大阪大学短歌会) 白い服のひとが微睡むように咲くあしびに春がいとしく触れる/坂井 ユリ(立命短歌会、京大短歌) 春色のまやかしに泣き 泣き疲れ眠りに落ちる鈍の水面/村松 昌吉(立命短歌会)
- このページに掲載の歌稿は、作者の許可のもとで掲載しています。
- 転載などを希望される場合には、京大短歌会のメールアドレスあるいは「お問い合わせ」より連絡ください。作者の意向を確認し、その都度対応を決定してご返信いたします。