歌会の記録:2000年12月6日(水)

歌会コメント

歌会 参加者数6名

詠草

01 薄暗い既読リンクの色になる前振りのないくちづけのあと  江國凛

02 嘘つきと言われてめざめる 目の前の君はキリンのパジャマ着ている  西之原一貴

03 青年であると思えず朝食のゆかりごはんがかがやいている  澤村斉美

04 のどの奥く、としめつけてその声を遠くの君に置くようにせり  水野ふみ

05 (あやちゃん)と呼ばれ振り向く子供服売り場私を呼ぶものはない  松島綾子

06 万華鏡一振りごとの確かさで頭上を流るる紅葉の空  杉美和

07 ぬっくりと立てる公孫樹の黄金の尿ゆまりを浴びるごと君静か  澤村斉美

08 わたくしのうぶ毛を燃やす香りもて汝が心臓を焦がしにゆかな  松島綾子

09 思いきり淋しい夜にのせてやるフォームドミルクに唇くちを残せリ  江國凛

10 近づけば灯るしかけの玄関灯は井戸のごとしよ落ちそうになる  水野ふみ

11 晩秋の雨後の路面をひとひらの羽根としてある現実である  西之原一貴

12 「受けとめきれない」と言う君の煙草はねじを巻く音で燃ゆ  杉美和
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