歌会の記録:2000年11月16日(木)

歌会コメント

歌会 参加者数7名
題詠「身体の一部を詠み込む」
題詠の企画者、松島さんが司会。湧川千夏さん久々の参加。

詠草

01 深く抱くときに手指が触れている汝の背骨の若さが惜しき  水野ふみ

02 出立はいつも何かと引きかえの気がして膝をくいと伸ばしぬ  田中克尚

03 忘れたい血が通うから君の雨露が滴る皮膚は活きてる  中島祐介

04 また冬が、言いたる我の場の変わりにき時の流れはらせんに巡りて  湧川千夏

05 <わたくし>が満ち満ちていてふやけたるガラス壜なるなづきの中に  松島綾子

06 ニヤつけば「閾下知覚の総体が主体性だと錯視されます」  柴田悠

07 さらさらと垂らせて君に寄りてゆく指先はもう波に触れている  水野扶美

08 「珈琲は」砕(ミル)も湯沸も飲むのにも手間また手間に愛だよと君  湧川千夏

09 わたしとふどこにもゆけぬむらぎもが皮膚のあはひを呻いてゐるよ  松島綾子

10 切符販売機の硬貨あたたかき紅葉せぬ葉に触れし指先  森雅紀
  • このページに掲載の歌稿は、作者の許可のもとで掲載しています。
  • 転載などを希望される場合には、京大短歌会のメールアドレスあるいは「お問い合わせ」より連絡ください。作者の意向を確認し、その都度対応を決定してご返信いたします。