歌会コメント
歌会(題詠“麺類”) 参加者数10名
突然の題詠に一同苦しむ。
詠草
01 密葬は春を呼び込む風のなか待ちくたびれて麺啜りおり 棚木恒寿 02 亡き父のこもりし小屋の厨よりカルボナーラのにおいておるらん 西之原一貴 03 とんこつの面を回りゐる葱の輪を真似してひとつづつつまめども 森雅紀 04 ゆっくりと支那麺ひとくち運ぶときつくかつかぬかねぎの小踊り 田中克尚 05 のれん出づる姉貴はひらりきしめんが箸の間をすり抜けるごと 澤村斉美 06 膨らみを増しゆくうどんを見ておりぬ愛しきものを壊せと言ひぬ 杉美和 07 (作者の都合により省略) 08 片づけに椅子がつまれていく店を立ちたり朝になるまへの雨 田中あろう 09 いっそ情は無用と言わば潔し きつねを寄せて啜るうどんは 島田幸典 10 好きでもない男と向かい合うて食ぶる釜揚げ饂飩に耳があるなり 水野ふみ 外 その時は寄り添うことがたのしくて冷めてしまったうどんを食べる 金田光世 そうめんをつるりと食べる夏の宵 女の腕は白蛇を飼う 松島綾子
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