歌会の記録:2004年2月8日(日)

歌会コメント

歌会 参加者5名。
久しぶりに中島さんが参加されました。

詠草

01 「さよなら」という日本語を探してる対向車線の光の列に  生駒圭子
02 さよならは椿のように突然で咲き誇る日に愛でる間もなく  山口弘
03 ひからびたみかんがときにあまいことそんなことばをかけてあげたい  井上雅史
04 レッスン後引き詰め髪をゆっくりとチュチュの袋に任せる少女  塩見香保里
05 にぎわえるあの橋の灯を思う手であたためていたこともあったと  北辻千展
06 うつつよりゆめで逢ひたしわたくしが堕ちゆくときは砂丘をたまへ  増田一穗
07 水多き雪ひとひらは束の間を窓に留まる 山の雪なり  澤村斉美
08 新駅は梱包されてありというメール泳ぎて届く青夜は  棚木恒寿
09 扉を開けると、誰かのとても立派な排泄物が、便器のまん中に横たわっていた。思わず扉を閉めて、隣りの便器で体に力をこめた。出てきた排泄物は、眼の裏の残像の、お隣りさんに少し負けている気がする。最近口にしたものを思い浮かべながら、もうすこし食事に気をつけようと思った。
  排泄の行為の末の喜びを朝の日課のうちに楽しむ  松島綾子
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