歌会の記録:2003年6月8日(日)

歌会コメント

歌会 参加者7名。
時間オーバーで、場所を変えて歌会の続きをしました。

詠草

01 ベランダの仕切りの板をかいくぐり隣のうちの毛玉吹き寄す  澤村斉美 

02 アメリカだ!
  多機能を未だ信じて女男(めお)在るをしずかに春の闇は容れつつ  棚木恒寿

03 舟となる薄片の上体から水へ水から体へ気泡  金田光世

04 ゆすり立つ樹よりちらちらと日は差して朝情死せし虫は落ち行く  北辻千展

05 風下の贖罪といふ門閉ぢて地平線ゆくモーラのやうに  増田一穗

06 ゆうがおの蔓の絡める植込みにほとりほとりと水の落ちくる  澤村斉美

07 日常が終わるレモンの薄切りを剥がすたび打ち寄せる風景  金田光世

08 終電のロータリーの灯煌々と照らした舞台に役者はおらず  北辻千展

09 日常の語彙の貧しさ剪定の音を聞くときももの言はぬ木は  松本隆義

10 トラックの荷台を開く音聞こゆ私訳をつくる部屋の窓ごし  西之原一貴
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