歌会の記録:2002年3月23日(土)

歌会コメント

追い出し歌会 参加者15名(うち追い出されるメンバー4名)
小川和恵さん初参加、謎彦さん、岡村知昭さん数年ぶりという久々の参加。
追い出されるメンバーのお名前の読み込みなど、力作がそろいました。
追い出しコンパ@くれしまでは、追い出される杉美和さんや吉川宏志・前田康子夫妻も参加して下さり、大盛況でした。

詠草

おまへにゃお前の武器があるのさ引っ掻かなたとえ東京の肌かたくても  松本隆義
  * 田中克尚氏のお名前が隠れています。

十歩ごと桜に匂へるさやさやと明かに映ゆる君や酔いつつ  中島裕介

我は鴉ガラスの羽をはばたかせ傷つくことに目をつぶらんとす  小川和恵

集い待つ息等を吸って吐く草はそっと夜露を今も揺らせよ  柴田悠 

ばったりとたふれそのまま手ぬぐひに吸わるるごとき安住の地を  謎彦

春雨に濡れつつ色をましゆかな小松の上枝下枝にまじりて  西之原一貴

男らは順を踏までは老いゆけぬ 冬のガラスはしずかに汚れ

ジーパンの膝の間に抱かれて桃の枝遠い真昼までゆく

銀ねずの栞の紐が滑り落ち頁にへこみが残る3月  水野ふみ

数高く神酒(みわ)積み上げて祈るらむはるか旅路よ真幸くあれと  松島綾子
  *西之原一貴氏、杉美和氏、柴田悠氏、森雅紀氏のお名前が隠れています。

さようなら

旅立ちですか

そうですか
それではどうか
お気をつけて  大石貴子

さようなら
遠くに行くのね 
うつむいて
忘れることは
ないのですから  大石貴子

盆地去る人の記憶は桜花池底に敷くごとく残りつ  森雅紀

漆黒を待つ畦道の礎に仏一体坐してありたり  田中克尚

ほっといて下さい起きていますから五重塔は光りますから  岡村知昭

「足元をテニスボールの影が過ぎ四月のメモは増えてゆきたり」Nは十九歳(!)だった。
残光のテニスコートを蹴っていく脛は春ごとに強くなりたり  澤村斉美

頬片側にひかりのさしている克己森はるか美し野つ原越え来  山内頌子
  * 田中克尚氏、森雅紀氏、柴田悠氏、杉美和氏、西之原一貴氏のお名前が隠れています。

固唾から葉のシニカルな束叱る弾けよ熱き言の葉の束  松本隆義
  * 西之原一貴氏、柴田悠氏のお名前が隠れています。

目には目を花には花を描き足してあしたから親政をはじめる  謎彦

透き通りそうな国会議員からあおぞらなんか受け取ってみる  岡本知昭

春風の野を見渡して下りゆかず鷹よ己(し)がかつ久しき夢を  棚木恒寿

歌の理も理の様々にハイセンス気味わたりゆく西へ東へ  松本隆義
  * 森雅紀氏、杉美和氏のお名前が隠れています。
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