歌会の記録:2026年2月19日

歌会コメント

京大短歌の今年度の追い出し歌会を行いました。卒業生は朝霧りんさん、真中遥道さん、三上麦さん、雪野菜帆さんの4名でした。和やかな雰囲気で歌会が行われ、当日その場で追加の詠草が提出されるなど、会員と卒業生の間で多くの短歌が交わされた歌会になりました。

詠草


卒業生から京短へ

またいつか絶対会いたいみんななの、それがほんとに嬉しいいつも /三上麦

慕われることのじんわり温かくきょうたんって小さく唱える /真中遥道

離洛に際して
読点のようにあった鴨川を去っても聞こえてくるよ、鴨川 /真中遥道
鴨川を流れる水は軽やかに 忘れ物をしている気がする /真中遥道

海は数十年後もたぶん海いつでもリセットしていいんだよ /朝霧りん



卒業生全体へ

きみがわたしのなかを歩いた足跡をサンシェードいつまでも守るよ /あめもよう

もちもちの王国を継ぐひとたちがみんな使っている花のペン /有賀あむ

雪は水面にふれては消えて何度でもあなたのこれからを祝いたい /船田愛子

はなびらのうすさを重ね続けてはおめでとうって距離の単位だ /湖守うたた

道を歩いていれば転けます道端の公衆電話を適当に押す /カジオ・ブランコ

扉が開く明日のような輪郭のものへ向かって歩いて行ける /カジオ・ブランコ

逆光を受け止めながら笑うのは桜まみれになる春の川 /川口番



朝霧りんさん

滝ちゃん、とあなたが呼んでくれるから白いスカートを何度も履いた /滝春子

まだ冷たい春のふたりの歌会にゆっくり言葉が紡がれていく /滝春子

同じようなタイムラインにロコモコの話が流れてきて立ちどまる /森井翔太

マニキュアの瓶かたむけつつ思い出す歌会のとなりの指先を /金井優々

まっすぐで強いものこそ美しい 夏の焚火に心を預け /武田歩

霧のたつ朝に走れば目に留まる季節のたびに変わりゆく花 /武田歩

瓜がたくさんぶらさがってた場所のことも言葉にしたらへんになるかな /有賀あむ

ちゃん付けでわたしと話してくれること心強さずっとおぼえてる  /あめもよう

好きなものを好きということ 瑞々しい明け方の鈴の音は凛と鳴る  /あめもよう

誰からも選ばれぬままヒロインは僕に秘密を教えてくれた /カジオ・ブランコ

大丈夫深夜一時にその歌は私のお気に入りになったから /カジオ・ブランコ

しずく跳ねるようにとびらを開けながら小脇に抱えているヘルメット /津崎一加



真中遥道さん

硬い冬の空気をほぐして少年はみんなに星を渡してくれる /滝春子

ポラリスを見定めながら友達にするはるみちにいの話が減った /森井翔太

真中さんが写った写真を見返せば自撮りをしてくれたものばかり /森井翔太

川べりに転がりあってくしゃくしゃな箱に残された1本を吸う /森井翔太

震えながらしろい便器に吐くときはどの手もあなたの手でさすられる /森井翔太

池ノ沢の開けたほうへ進みゆく話せていないことばかりだな /森井翔太

もう誰もあなたは知らないカフェコレの見渡す席にわたしが座る /森井翔太

〈わたし〉に真中遥道呼びたし体じゅうの川べりを歌いながら歩いて /金井優々

鴨川を裸足で行けばppiでは示せない光が揺れる /武田歩

両の手をギターに乗せるアクエリがサワーになったことも慣れて /武田歩

鴨川で花よりギターのわたしたちうろ覚えの春のうた歌った /三上麦

胴体部分(真中さん)いたからできた夜の川ジェスチャーゲームのケンタウロスは /湯浅桃

真中さんならどうする? と鴨川の冴えている河岸にきいてみる /有賀あむ

思い出に形があればきっとこう小路にさっき居たつむじ風 /カジオ・ブランコ

君のつけたあだ名で呼ばれる人がいるそんな強引さをいつまでも /あめもよう

話す度に話したくなる 泣けるのに平坦な調子のミュージック /あめもよう

われわれの閉じた全ての日記帳に名前が記されていてすごい /成山ジュンヤ

はつなつの浜にふざけている君が見えるよFm6で /中井煌力

真夜中にココア回しているひとのはやくあなたと話してみたい /津崎一加



三上麦さん

五線譜をマフラーにして寒がりなあなたが歌ってくれる、目の前で /滝春子

動きすぎてはいけない カーテンの隙間をのびる光は昏れて /森井翔太

友達の部屋に揃ったルービックキューブをすこし長めに見つめる /森井翔太

食べても食べても数の減らないサクランボ分けあうことも旅のひとつに /森井翔太

動きすぎて行けたところも吹かれながら蕎麦屋の暖簾にあなたが笑う /森井翔太

湯船が湯船じゃなければずっとそこにいて漫画の話を続けたかった /金井優々

人知れず歌ったあとの窓際のそこで少しは息を休めて /武田歩

東京を脱け出してきて京の茶葉蒸らす間に生まれくる詩は /武田歩

京都市を攻略していくかのようにズンズン歩む日傘の勇者 /真中遥道

僕たちのどこかうっとりするような所でこんにちは三上さん /中井煌力

杏仁豆腐のからだのりんご抱え姫起こさぬように合宿の朝 /湯浅桃

本当でも嘘でもよくてでかい星みたいなものを信じてください /成山ジュンヤ

行く先のすべての場所にこの道とと同じ銀杏がありますように /成山ジュンヤ

カラオケでジャズ入れるのってかっこいい速く生きても長生きしてね /あめもよう

手繰り寄せる歌声のなかによみがえる幾千の年輪のひしめきを /あめもよう

この街のお店を全部まわったらあなたと同じ足跡になる /湖守うたた

たとえばそれは夏のあなたに教わったお菓子を空輸するチャーター機 /有賀あむ

太陽をゆっくり浴びて動き出す溌剌と一歩ずつ確かに /カジオ・ブランコ

ルービックキューブはさんで見つめ合う2面そろっていたらうれしい /津崎一加



雪野菜帆さん

次に会う遠さをこめて真中さんと大きく振りかぶってするハイタッチ /森井翔太

人に向き合い生に向き合い朝焼けのソイティーラテの湯気の甘さよ /武田歩

茶室まで陽はあたたかく差してくる庭に積もった雪を光らせ /武田歩

苔むした道路脇にはゆうれいが最初はグーのまま止まってる /カジオ・ブランコ




【卒業生から会員へ】

to武田さん
短歌ロボ(だんだんそう思えてくるの!)とか言ってごめんWE LOVE TAKEDA /三上麦
写実派の武田に感情がのるとき それまさに恋のはじまりだった /三上麦
即レスでロボみを増していくTAKEDA/武田歩氏の公開推敲 /三上麦

to船田さん
ふくふくの笑顔であなたが追いかける広すぎる空をわたしも見たい /三上麦

toやねさん
もうずっと前から友だちだったみたいセボンスターいちばんのあげるね /三上麦

to金井さん
踊るようにうたってくれて歌うようにはなしてくれるそこも好きなの /三上麦
金井さんのセンスに全力溺れ隊ずっと一緒にカラオケ行こ! /三上麦

to湯浅さん
湯浅さんの「〜じゃないですかー。」が好きな人全員集って茶しばこうや /三上麦

to川口さん
なんかねー、大丈夫って思えるの。川口さんのピース見てると /三上麦

to森井さん
たいていは森井さんによるモノマネで知ることになるリューズの近況  /三上麦

to滝さん
もっともっと話したいって唱えたら魔法のように会えたりしない?  /三上麦

to津崎さん
ふつうに、存在が宝石なので、楽しいことだけ一緒にしよう🎶   /三上麦

toあめもようさん
歌いながら一緒の海を走ったら うん 眩しさもうれしかったよ /三上麦

to佐伯さん
かつてそれはわたしのとっておきだった名前であなたが進むこれから /三上麦

to成山
I bet my love, you bet your love そうだね 一緒にうたってくれる? /三上麦

カジオさん
頷いて話しはじめる ぶらんこは春の言葉と教えてくれた /三上麦

有賀さん
すももたっぷりあってよかった本場にも負けないレベルのお菓子歌会 /三上麦

中井さん
好きなもの語ってるときのキラキラな表情をもっと見てたくなるよ /三上麦

湖守さん
あたらしい見方で読ませてくれるとき子守唄のように心地よく /三上麦


あめもよう
ひだまりをあなたにもらった人たちにまもなく訪れるはれもよう /真中遥道

川口番
気まぐれに川面を漂う草の葉の遠く確かに海を目指して /真中遥道

布野割歩
老年に得られるような達観と悪ガキの境目を撫でてもいい? /真中遥道

早瀬はづき
速すぎる流れに泳ぎ疲れたらいつでもうちに休みにおいで /真中遥道

森井翔太
語り出すときには深く手を伸ばしあなたが撫でる岩の凹凸 /真中遥道

武田歩
風に揺れる枝葉のようにささやかに何度も頷いてくれる /真中遥道

湯浅桃
決心の坂を登っていく人のペダルを踏みこむ脚の確かさ /真中遥道

船田愛子
それではと立ち去る人の正体のように花びらひとひら舞って /真中遥道
 
金井優々
風の色を思うみたいに何回生なのか結局分からないまま /真中遥道

津崎一加
滅亡を控えた夜空の濃淡を見つめつつ他者について話した /真中遥道

滝春子
持ち前の笑顔がもとのマジックを20歳では何にかけるの? /真中遥道

有賀あむ
鴨川でゴシゴシ洗うアライグマ正しさを見極める眼差し /真中遥道

カジオ・ブランコ
ノリノリで歌うカジオを孤独にし夜通し歌えなくてごめんね /真中遥道

成山ジュンヤ
真中さーんと調子いい声思い出す 鳴り止まぬミュージック響いて /真中遥道

中井煌力
サビ前のGsus4が鳴っている何かの前夜を君は歩いて /真中遥道



滝ちゃん
私なら魔法を使って初春の自販を全部あったかくする /朝霧りん

森井さん
301の郵便受けを開けながら 私にも開かれていた 門 /朝霧りん

金井さん
サイゼでも評するときにすぐ引けるように歌の辞書を持ってる? /朝霧りん

武田さん
川沿いを走ればときどき吹く風に傾きながら咲いている花 /朝霧りん

有賀くん
ゆるゆるの豆腐の中にひっそりと隠されている鋭いナイフ /朝霧りん

あめもようちゃん
気づいたら大人になってて私たち周りの人に作られてるね /朝霧りん

カジオくん
いいやつと言われなくてもいいやつとわかる眉毛の角度・歩き方 /朝霧りん

津崎さん
金髪も3センチほど伸びてきて勝手に結成プリン同盟 /朝霧りん
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