歌会の記録:2001年1月13日(土)

歌会コメント

OB歌会 参加者19名
おおいに盛りあがる。二次会は東大路沿いの「よろずや」にて。

詠草

01 年という墓標を骨ごと吹き飛ばしいにしへの神は朝を造った  松本隆義

02 連れだちて鴉声なし雪片の見えぬ高さをひたにはばたく  森雅紀

03 曼荼羅に巻き込まれたる魂のあかあかとして救われがたし  中津昌子

04 鵯がふいに鳴きやむ気落ちしたようにも見えるみづからの火に  林和清

05 親指の下にナイフをもぐらせて柿を剥きいるその指が欲し  松島綾子

06 枝々は冬日を受けて止むことも進むこともなくやがて春かな  西之原一貴

07 人参の肌するすると明るくて冷たくてどうして泣き出せないか  水野ふみ

08 炬燵から出でたるように朝が来る寄る人寄る人みんななつかし  澤村斉美

09 高熱の我は自転車を押すこれも罰と思えば安らかなりき  杉美和

10 竹林は墓場をしまひたるゆゑに水の溜まれるやうに残りき  田中あろう

11 一音を生かしつづけて昼が澄む ハモンドオルガンにゆび沈ませて  岸本由紀

12 肉よりも骨が長生き 三年後祖母の骨壷のぞかせてもらう  吉川宏志

13 養老
  細長く踏みとかされた雪道が凍てつきおれば滝のあらわる  末松幸弘

14 黒板に書き散らす雪のごときものこの生徒には不可視の文字を  棚木恒寿

15 新しき概念はときに「方法」のなかに現る枝葉のように  永田紅
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