歌会の記録:2000年10月11日(水)

歌会コメント

歌会 参加者数12名
仲町六絵さん初参加

詠草

01 自転車で横切りてゆく吾(あ)の肩に昨夜の雨を浴びする潅木  杉美和

02 上空で飛行機は二機亡霊の鳥のやうに黙りて過ぎぬ  柴田悠

03 着衣喫飯阿屎送尿(ぢゃくえきっぱんあしそうにょう)じゃ足りなくて恋がしたいよ一休禅師  仲町六絵

04 掘り出せし梅の木の根はたちまちの大雨にその身をあらわしてゆく  末松幸弘

05 ひとりぶん疲れて歩む夕暮れは金木犀の街路光れり  澤村斉美

06 まくりいし袖を戻して夜寒(よるさむ)の秋の駅まで送る、ではまた  島田幸典

07 弟の寝顔は愛(かな)し夜を吸ひ朝を吐き出す光の器  江国凛

08 細月をくぐりて吹けり秋風は汝がやわらかきうなずきのとき  西之原一貴

09 落ちちゃったこわれちゃった人間が全力疾走の形してるよ  松島綾子

10 どうして?とやさしく押しとどめられて夕日が指に沁みるまで泣く  水野ふみ

11 脳(なづき)より身体に毒は降りきたりうれひが閉めるあまた血管  田中あろう

12 愛憎のけむり浴びたる一匹の秋刀魚はうすら口を開けたり  田中克尚
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