歌会の記録:2000年7月7日(金)

歌会コメント

七夕歌会 参加者数19名
松島綾子さん主宰の相聞題詠。久々の試みだったが大盛会となった。

詠草

<題詠 恋歌、一部相聞(↓部)>

01 君も一人星合ひの空仰ぐらむ「今ハ信ジタ自分ノ道ヲ」  片柳香織

02 約束の場所は一筋さきにある笹のしおりを挟んで立ちぬ  田中克尚

03 水の音・風琴の音・白薔薇の音・月光の音 あなたを見せて  黒瀬珂瀾
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04 太陽の炎であばいてご覧なさいアガパンサスがささやくのなら  松島綾子

05 触れえざる言葉のかげの膨らみて部屋に青満つ夜のまにまに  西之原一貴
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06 我はただ君の言葉を繰り返す瞳に満ちる青を見つめて  金田光世

07 東京は遠い。素足の踝(くるぶし)に夏のひかりの手が届く間に  島田幸典
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08 常夏のひかりの触手を求めればアンクレットに君はなれるか  杉美和

09 手花火を咲き継がせいん真うしろのきみの気配をずっとこのまま  岸本由紀

10 天球を指で回(めぐら)す夕暮れのかつてもふたりしじまを見ていた  澤村斉美 17の返歌

11 (作者の都合により省略)

12 砂金したたらせ銀河の土手のぼる気付かぬふりをしている君へ  森雅紀

13 通信の切れし美山にまどろめる眼裏で君は我に微笑む  柴田悠
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14 君の目の届かぬ今日は引き出しの中のむかしの恋文を読む  井上リリー

15 夜眠るときだけ眼鏡をはずすとう眉間を見れば友に似ており  水野ふみ

16 君の住む町を横切る路線バス「天の川」とう四つかどを過ぐ  末松幸弘

17 手の中のつぶてを投げられずにふたり寡黙な西瓜を提げて帰ろう  澤村斉美

18 修復を重ねて傷を深くする私たち 草刈りのにおいす  永田紅

19 息吸へば悪しき始源のひと去れり吸はれてあかくなりし唇  田中あろう

20 本心とう穂の見渡せるあぜ道をペダル踏みつつ過ぎてゆくらん  西之原一貴
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21 過ぎゆきぬ人はえ見ず麦の穂の西陽に熟すそのなかは白  杉美和

22 おほさかの関を犯して面向けどミルキイウエイにこの食中り  中島裕介

23 七夕にも友を思うか手紙とは愛する女に書くものだ、きみ。  岸本由紀
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